夏目漱石『行人』
- 作者: 夏目漱石
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1990/04/16
- メディア: 文庫
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久しぶりに行った図書館で小谷野敦の本をパラパラッとめくったところ、偶然にも漱石の『行人』とドストエフスキーの『罪と罰』を並べて語っていた.『罪と罰』との共通性なんて考えたこともなかった.どっちも大好きな作家だけど、なんていうか同じもの書いてもドストエフスキーのは寒い国だからこその感情過多というか熱に浮かされたような激情家揃いな世界が繰り広げられていて、漱石の世界ってまったく違う印象を受けてた.言われてみれば外に向かうか内に向かうかの違いってことなのかなあ.ひたすら自己の内に抱え込んじゃう漱石の人物のほうがドロドロした地獄を生きていそうではある.ドストエフスキーって悲惨だけどどこか光があるし.両方ともあんなに絶望しているのになぜか滑稽味を感じるところは同じかな.