実に久しぶりに御手洗シリーズを読んだ.てっきり普通のミステリーかと思いきや、ミスエリーの手法を借りた
島田荘司的歴史解釈本って側面もあり.有名なロマノフ家のアナスタシアを扱った作品.自分こそがアナスタシアだと名乗る実在の
アメリカ在住の女性を「彼女は本物である」という結論の元に、その説を裏付けるあれこれを物語の中に入れ込んであった.ただしタイトルでもある幽霊軍艦の出現の謎と彼女の真贋はあまり関係がない.逃げ延びたアナスタシアと日本軍の一兵卒との
恋物語はなかなかロマンティックに描かれていたものの、アナスタシアが逃げ延びるまでの描写がかなり辛い.
ボルシェヴィキの野蛮さや軍人の卑劣さを描写するにはもってこいだとはいうものの、これでもかと続く性的陵辱のあれこれは読んでて気分のいいものじゃなかった.御手洗シリーズは全然キャッチアップ出来てない.日本を離れてどっか行っちゃったんだよね.久しぶりに他の長編が読みたくなった.