第9回『すべてはこの手紙』

今日の一押しは野田秀樹勝海舟!もう誰がなんといおうとこれでしょう.野田さん、おもしろすぎ.一癖も二癖もある舞台の野田さん演技はあまり得意ではないんだけど(単純に大抵イヤな奴だから苦手なのかも…)、今回のこの勝はいい具合に野田味が薄まってて、それでいて明らかに他の役者からは浮いてて、すごい良かった.べらんめぇ口調で軽い感じなのに、あるタイミングでさくっとドライになりそうな雰囲気が出てた.石坂@佐久間とのやり取りもお互い楽しんでやってるっぽくて見てるほうも楽しかった.

えーっと、もう赤ちゃんが生まれて近藤はお父さんになってるのね.赤ん坊をあやす近藤が優しい顔してたね.百姓の出だということでさっさと切り捨てられたのに一生懸命取りすがる近藤が哀れで見ていて辛かった.先週「わたしは武士です」と山南に言い切っていた台詞が、あっさり「武士ではない」と否定されちゃうんだもん.それでも平助やつねの前では落ち込んだ様子を見せないあたり健気じゃ.

勝や佐久間の話を聞いても「頭のいい人たちが何だかわらんが凄いことを話してる」くらいにしか理解できなかった自分をよくわかっていて、それでも何かしたいと強く思っている近藤なだけに剣の道すら閉ざされるというのは相当応えることだったはずで、だからこそ山南の手紙に素直にあそこまで喜んだんだよね.で、そんな夫をひきとめておきたいつねの気持ちも良くわかる.ここで静かに道場主の座に収まっていれば平穏な一生を送れただろうに.

といいつつ、土方を「いい歳して…」と咎める近藤にムッとしてるあたり所詮私は土方びいき.近藤、つめてーよ.親友なんだからさあ、もうちょい心配してあげてよー.土方だって傷ついてるんだよー.意地っ張りな土方は何も言わないだろうけどさ、自分の悩みばかりぶちまけてるから後の土方が出来上がっちゃうんじゃないの.まあ、近藤も土方の前でだけ本音を漏らせるってことなんだろうし、なんだかんだとこの2人が揃う画面を見てると「あるべき姿」に見えて安心しちゃうんだけどね.

沖田、山南、永倉に全然違うこと言われるおみつさんの旦那、そりゃ混乱もするだろう.食客のくせに沖田しか天然理心流を教えてないじゃん.いいのかそれで.それより何よりおみつさんって何気に一番の権力者?誰も彼女には逆らえないのね.いいなー、あんなに思い通りに自由にさせてくれる旦那がいて、いい男揃いの中でやりたい放題.一番成り代わりたいキャラだ.

山南さん、浮かれてましたねえ.もうウキウキという吹き出しをつけたいほどのうかれっぷり.いつの間に近藤のことをそこまで買ってたんだ.割りと舞い上がると周りが見えなくなるタイプっぽい.最後の手紙の朗読は高揚する気持ちががんがん伝わってきて素晴らしかった.

沖田と赤ん坊の取り合わせはどちらも子供に見えるから不思議.子供が子供を抱いてるよ〜.剣を教える時の藤原君の落ち着いた声が良かったわ.

食い物キャラだとばかり思ってた原田がいきなり哲学的命題を口にしてたよ.「生きてる意味あんのかな」って、原田が言うか!コナンで言うなら元太が自分の存在意義を問うようなもんでしょ.ありえねー.

ここでの見どころは原田の台詞が突き刺さる土方の表情でした.その後また近藤の愚痴を聞かされちゃうんだもん.土方だってまだまだ自分のことで精一杯なはずなのに.お琴に「俺と一緒になってもいいことなんてない」って言い切ってみたり、二言目には「俺のことはいい」って他人を介入させなかったり、なんというか孤独な人だ.山本君のインタビューによれば土方は本当にお琴のことが好きだったんだって.でもああいう人だしああいう時代だから一緒になることは出来ない、だからこそ直接的な行為に出ちゃったんだって.そこで踏みとどまれないあたり結局弱いんだけどね.でも今回お琴の兄にあえて反撃せず黙ってやられた姿はそれなりのケジメだったんだろうな.つい2話ほど前にはヒュースケンの女話に目の色変えてたっていうのに、いつの間にやら成長してるじゃないの.

来週の予告では貴婦人のように倒れこむ松平様に注目!あちゃーって顔の伊原@佐々木にも大注目!そして沖田が月代アリに!がくーん…