『壬生義士伝』

壬生義士伝 [DVD]

テレビ版を先に見ておいてよかった．映画だとかなり省略されちゃってるので脳内補完が必要っぽい．テレビでは出演者その1に過ぎなかった斎藤が準主役になっていて、斎藤の気持ちがナレーションで語られるのに驚いた．原作はどっちの手法を取ってるんだろう．

テレビ版では吉村以外の新選組メンバーを描いた部分もかなりあって、試衛館メンバー＋吉村ってくくりだったのが、映画は吉村と斎藤にほぼ限定してあったせいで近藤＆土方の印象が全然なかった．伊原さんの土方はあんなにかっこよかったのになあ．八木家の皆さんや竜馬、河合のエピソードなどがばっさり切られてたのはしょうがない．が、テレビではあんなに大活躍な佐助さんがちょっとしか出番がなかったのが寂しい．佐助さんの親切があったからこそ、吉村がどれほど家族を思っているか、しづや長男がどれほど吉村を愛してるのかがわかって、だからこそ泣けるのに．大野との友情も時間の制限のせいか物足りなかった．キャスティングうんぬんは別にして、単純に物語としてみるには断然テレビ版のほうが好き．息子の死まできっちりやってくれてるし．

テレビ版吉村の渡辺謙と映画版吉村の中井貴一では、役者のタイプが違いすぎて同じ人物とは思えなかった．中井貴一が盛岡弁を高い声で喋るとほんと情けな〜い雰囲気になるんだもん．渡辺謙は卑屈にお金をもらってもいかにも故郷では師範代を努めてましたっていう硬派っぽさが抜けてなかった．

大野は断然テレビ版の内藤剛志の方が好き．三宅さんは三宅さんに見えてしまったってのと、息子の千明に出番を奪われたせいで大野自体の描写が少なかったってのもあり．あんなに良かった母親とのシーンもばっさりなかったしなあ．

斎藤は吉村以上に印象が違った．そりゃ竹中直人と佐藤浩一じゃあねえ．竹中直人は体格のせいか貫禄に欠ける．かといって佐藤浩一というのも．この人、もしかして演技ヘタ？

沖田はどっちも良かった．金子沖田は色黒のひらめ顔で、沖田ってこういう顔だったんだろうなあって普通に思えた．大河の無邪気沖田に比べると非常に淡白な沖田でおもしろかった．映画の堺沖田は評判通り殺陣が凄かった．殴る蹴るのやりたい放題．おもしろーい．ただ、新選組！と平行して見ると「山南さん頑張ってる！」と思っちゃうのがどうにもこうにも…．沖田独特の髷の方が似合ってるね．

鳥羽伏見の戦いは映画版のほうが臨場感があって良かった．テレビは予算の関係か原っぱで戦ってるだけだったんだもん．

こうなると見るやいなや削除しちゃったテレビ版が懐かしい．悲惨は話が多いし2度は見ないだろうって思ってたのに、また1話から見たくなっちゃった．再放送しばらくないだろうなあ．