『燃えよ剣』

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

燃えよ剣(上) (新潮文庫)

多くの新撰組イメージがこれによって創り上げられたという作品らしい.史実のあれこれや大河や壬生義士伝などが先に頭に入ってる私にはいまいちのりきれずに終わってしまった感あり.時代小説には馴染みがないので、これが時代小説の特徴なのか司馬小説の特徴なのかわからないが、とにかく淡々とした文章に驚いた.文学というよりはレポートのようにあっさりとした味付けだった.特にこれ以前に読んだ『歳三往きてまた』が女性作家ということもあってか非常に叙情的に描かれていただけに、余計に差を感じちゃったのかもしれない.こういう情に流れないクールな視点が男性には受けるのかしらね.


で、主役の土方ですが、うん、この土方が好きな人には大河の土方がいまひとつってのもわからないではない.燃えよ剣のイメージだと渡哲也で問題ないもん.なんだか大人の渋い男って雰囲気の土方でした.でも沖田との絡みの時は子供っぽくて良かった.っていうか、土方好きなつもりだけど、この作品だと沖田が一番好きだったわ.あと、個人的に『歳三往きてまた』が鳥羽伏見以降だったから、そこで描かれなかった京都時代の出来事についてもっと詳しく書いてあることを期待したのに、意外なほどあっさり流されちゃってた.これはやはり手元に置いてある人物往来社あたりの史実本を読まないとダメっぽいな.