『聖母の深き淵』柴田よしき

聖母(マドンナ)の深き淵

聖母(マドンナ)の深き淵

山内&麻生の二人のその後が知りたくて早速借りて読んでみた.
でもこのお話は緑子が主役だから、2人は脇役としてちょこちょこっと登場する程度.実際の発行順はこちらのほうが先なんだそうだ.が、先に『聖なる黒夜』を読んでおいてよかった.でないとこの本で示唆されてる2人のあやふやな関係があやふや過ぎてよくわからなかったと思う.そっかあ、麻生はあのあと探偵になって、しかも山内庇って服役しちゃうのか.波乱万丈じゃないの.ああ、早く次も読まなくちゃ.
この作者はもともとジェンダー問題に関心があるんだろうか.『聖なる黒夜』では同性愛を扱うと同時に「女とは」という問題に非常にこだわっていたし、今回もトランスジェンダーの登場人物が出てきたり、女性であること、男性であること、更に言えば母親であること、など性の問題がかなり執拗に繰り返し描写されていた.実際に母親でもある作者本人が緑子にどの程度投影されているのかはわからないが、緑子が「女性である」ということに対して過剰なほど敏感なのでたまーに疲れる.決して嫌いな女性ではないんだけどねー.