『MID SUMMER CAROL 〜ガマ王子VSザリガニ魔人』@PARCO劇場 

【作】後藤ひろひと
【演出】G2
【出演】
伊藤英明 長谷川京子 山崎一 犬山イヌコ
山内圭哉 小松和重 片桐仁 瀬戸カトリーヌ
加藤瑞貴 後藤ひろひと 木場勝己 

ダブリンも人間風車もまんまと泣かされたけど、これは普通に「良いお話」として泣けてしまった.今までのPARCOでの大王の作品は必ず人間の弱いところやエゴ丸出しなところをガツンと入れてきてやり切れない気持ちになったものだけど、今回は黒いところがなくてみんな善人!いいお話だとは聞いてたけど本当にいいお話だった.笑って泣いて大変だった.誘ったHさんも楽しんでくれたようで良かった.

ほぼ主役状態の木場さんは膨大な台詞量をものともせずさすがの熱演.偏屈な様子も憎たらしくてよかったけど、ペコのために一生懸命な姿が素晴らしかった.オーディションで選んだというペコ役の加藤瑞貴は子役っぽさのない自然な演技が良かった.

この2人に泣かされたのはもちろん、すっとぼけた医者役の山崎さんにも泣かされた.ちょっとした表情が凄いいいんだもん.くさい台詞も山崎さんが言うと素直に入ってくるから不思議.今回の一番のお気に入りです.

伊藤英明長谷川京子は宣材で中心にいたからてっきり主役かと思ってた.思ったより目立ってなかったなあ.特に長谷川京子は出てきても一瞬わからないくらい地味だった.がらっぱちな言葉使いの看護婦役はまだ荷が重かったんじゃないかしら.彼女には適当にそのへんに座ってるお嬢様役くらいが無難かも.なにせ声と立ち姿が良くない.かなり前方の席で表情が見えたからまだ良かったけど、これで後ろの席だったら彼女だけ異様に浮いて見えたと思う.伊藤君は一幕目はほとんど出番なし.その代わり2幕目ではじける役が振られてた.まだみったんの時ほど振り切りきれてない感じだったけど、初舞台としては合格点をあげてもいい(甘い?).テレビ俳優だとよくありがちな手の置き所に困ってしまってへんてこな動きになっちゃってるなんてこともなかったし、コンスタントに舞台を踏めば結構いけるんじゃないかと思った.

他のメンバーも曲者揃いで楽しい.なかでも瀬戸カトリーヌが凄かった.強気な妻に全然応えてなさそうな天然夫の小松さんもいい.山内さん、犬山さん、片桐さんとそれぞれ適材適所でぴったりのキャスティングだった.それにしても毎回大王作品はキャラが濃いなあ.