KOKAMI@network vol.6『リンダリンダ』@シアターアプル

【作・演出】 鴻上尚史
山本耕史 松岡充 馬淵英里何 北村有起哉 大高洋夫 SILVA
田鍋謙一郎 生方和代 林和義 根田淳弘 浅川稚広 赤座浩彦 藤榮史哉 津村雅之 宮林大輔 草薙敬二

二回目見てきました.楽しかったー!!
うん、今回は単純に楽しんできました.
1回目はイマイチのりきれず残りのチケットは山本君目当ての観劇にしようって決めたくらいなのに、普通にあと3回くらい見てもいいよってくらい楽しかったです.


ストーリーを知らない初回は展開に別な意味でドキドキしてちっとも落ち着いて見られなかったけど、今回はもう全部知ってるから気楽な気分で望んだのが良かったのかな.テンポも良く感じたし3時間が終わっちゃうのが寂しくさえあった.
山本君の『トレイントレイン』とSILVAの『ラブレター』を聞く為にだけでも私にとっては行く価値のある公演です.


それから今回は後方通路の真後ろド真ん中という舞台を見渡すにはとても好都合な席だったのも影響が大きい.あの美術と演出は後ろから見たほうが全然いい.前だとチカチカ&バラバラで何がしたいのかわからなくなっちゃってたシーンも、後ろから見ると「なるほどねー」って別な視点が見ることが出来た.最後の自衛隊との乱闘も、前で見ると何がなにやらって雑然として見えたのが、後ろから見ると一応ちゃんと形になっているのがわかった.せっかくJAEの皆さんがいるのに歌いながらだから動きが緩慢になっちゃうのが惜しいねー.


演出に関する苦言ではないですが、歌のシーンは歌だけに集中させて欲しいと思うのは贅沢ですか.
特に『トレイントレイン』と2幕頭のSILVAの『パーティー』は余計な演出はいらん!あの2つは初見時に特に引いたシーンだ.あ、それから飲み屋のシーンの演出ももうちょっとどうにかしてほしいものの1つ.
トレイントレイン』は自力で歌だけに集中したので、他の役者の皆さんには申し訳ないけれど周りの喧騒は無視させてもらいました.『パーティー』のバックを踊りまわる傘は後ろで見たほうがバランスが取れて見えた.あれは前方で見たときは辛かったなあ.あの傘の選択からしてダメだ.なんであんなに色もバラバラで安っぽい傘を使うんだろう.そこで「傘にも何か細工を!」と思ってしまう自分はおそらく新感線に毒されすぎているんでしょう……


初日すぐでもまとまりのあったカンパニーが更に進化していて驚いた.10日間で舞台の役者が何倍も舞台を楽しむようになっていて、実に自由にのびのびと演技してます.というか放し飼いにしすぎ(笑)
特にSILVAが凄く良くなってた.最初から別に問題はなかったけれどどこか一本調子なのが気になってはいたのが、10日たってすっかりアキコになってました.ラブレターの独唱、良かったわ〜.


山本君はというと、2日目くらいだと力みが見られたのが、さすが肩の力が抜けて余裕が出てきてる感じでした.いろいろお遊びいれてきてるから目が離せない!前回「もしかしてここで手品か?」と思ったシーンにまんまと手品が仕込まれてきてました.好きだねえ.
前回は一応ストーリーを追うこともあってメインの芝居をしている人を見てたけど、今回は後方席だったこともあり、この際開き直って山本君が舞台に出ている限りひたすら山本君だけを見てました.
10日ぶりに見たら微妙に髪の色が変わってませんか?前はもっとプラチナブロンドに近い明るさだったように思ったけど、今回はかなりスモーキーな銀色に見えた.照明のせいか?
アプルってあの席(17列目)から表情が見えるんだ.しっかりウィンクも拝むことが出来ました.なんていうかもう見た目が可愛すぎる.女の子というか子供というか、更に言うなら赤ちゃんというか、ここまでベビーフェイスなのも凄い.頭の形がね、成人男性とは思えない赤ちゃんシェイプなんですよ.だからあの髪の色されると(首から下のたくましいガタイはおいといて)天使に見えます.私の目にはそう見えるだけなのでほっといてください.


北村有起哉は相変わらずおもしろすぎる.『パンク・ロック』は最高です.最後のあの扮装はどうしてもサモアリ出演時の久ヶ沢さんを思い出してしまって2倍笑えてしまう.
松岡君は個人的には歌より演技してるほうが好きです.鼻にかかった声と裏返りが入る歌い方がどうも苦手でして.でも演技は素直でとてもキュートな魅力のある人だと思います.


ところで大高さんは山本君を笑わせにかかってますか?無駄に余裕しゃくしゃくで余計なことをいろいろしていたように見えた.
もっこしもこもこゲームの正解者が言う言葉は日ネタなんだろうか.大高さんの「ドピュッ!」(確か)に山本君が素で笑ってましたねえ.他にも山本君は何度か素で笑ってました.一回大高さんのお腹辺りをどついてたけど、あれはどこのシーンだったかなあ.
北村さんに脚に絡まれた時は、手元のかばんを北村さんの顔にズドンと落としてました.
「SAVE THE ムツゴロー」の場面では逆に馬淵英里何ちゃんにしかけてませんでしたか?思い切りペチッと馬渕さんの腕を叩いてたから、「いったーっ」って言われてましたよ.


アンコールは大高さんのギターをバックに客席も巻き込んでの『リンダリンダ』熱唱.前の人が立ったのでなし崩し的に立ちましたが、最終的にはほぼ全員が立ってました.が、いかんせんブルーハーツ、全然知りません.当然『リンダリンダ』も知りません.後ろの女性達の絶唱が舞台の声を消してくれてちょっと迷惑でした.出来ればほどよい声量で歌ってほしいです.北村さんにSILVAに松岡君に、みんなヒロトの真似して飛び跳ねてるのが微笑ましい.
(あ、でも子供の頃から冷めていると言われ続けた性格上、「みんな一緒に!」とかそういうノリは苦手でして、最近のお約束のようなスタオベは好きではありません.まあ、そういうのが嫌いだからこそ芝居なんてのを見ているわけで…今回は最後だけで良かった……)


さて、最後に脚本について:
話はね、やっぱり苦手.実はカチンとくる台詞もいくつかある.でも多分それは鴻上さんが信じるものと私が信じてるものが重ならないからなんだろうって割り切ったら、そこは切り離して見ることが出来た.ただ鴻上さん的にはそういう見方は歓迎しないものかもしれないなあ…
防爆破にどうしても拒否反応が出てしまうのは、ああいう堤防が私にとっては決して縁遠い話じゃないからかもしれない.私の地元でも何年か前に同じように河口堰問題があり喧々囂々の大騒ぎがあった.だからこそ部外者が口出すなよって気持ちの方が大きい.
山本君はじめこの舞台の関係者が今回の芝居に関して「青春」とか「若者達の情熱」とかをPUSHしているけれど、堤防爆破は情熱ではなくて単なる無謀で無知な試みだとしか思えないの.本物のロックバンドになるために行動を起こすことはいい.引っ込みがつかなくなって前に進むしかなくなった彼らの状況というのも、いかにも青春っぽくていい.ただ彼らがそのためにすることが、誰がどう見ても人に迷惑をかける行為でしょ.荒川はやたら「人を傷つけることは絶対にしない」と口にするけれど、あなた達の行動は物理的な傷には配慮しているかもしれないけれど、精神的には十分にいろんな人を傷つけてると思うよ.そしてもしも本当に堤防を爆破したらヨシオやその地域の人がどうなるかを少しは考えて欲しい.もう子供じゃないんだから.結局自己満足でしかないと思うから共感できない.自己満足の世界ならば他人を巻き込むことはすべきではない.ムツゴロウを救え!の前にヨシヲを救ってくれ.