スリーパー・眠れる名画を探せ―英国美術界のシャーロック・ホームズ―

ロマンとスリルと知性に溢れる番組でした!
何気に録画しておいて良かったー.
スリーパーとは隠れた名画のこと.それを見つけるのは画商の夢だという.
誰が描いたかわからない埃にまみれた無名の絵画の裏を探り作者を割り出していく過程が、まるで推理小説やドラマのようで知的好奇心を大いに刺激させられた.これがフィクションではなく現実だっていうのが凄い!


今回番組で紹介されたイギリス人の画商フィリップ・モウルド氏は、これまで何度もこういう作品を発見していてその様子はまさに名探偵(そのせいか番組内では懐かしいグラナダTVのホームズドラマのテーマ曲や名探偵コナンのBGMなどが使われていて別な意味でのマニア心もくすぐる作りになっていた).
史料を読み解いたり裏を取る作業ももちろん凄いけれど、何が凄いってオークションやネットに出されるたくさんの作品の中から「これぞ」と思う作品を見つけ出す眼力が凄い.だって同じ絵を見ている人は他にもたくさんいるのに、その絵に引っ掛かりを感じて調査したのは彼だけなんだもの.かっこいいよねー.
例えばこれまで1枚も残っていないとされたヘンリー8世の兄にあたる悲劇の王子アーサーの肖像画も彼の手によって発掘され、今ではナショナルポートレイトギャラリーに展示されている.
肖像画は衣服、カツラ、そして靴で描かれた年代が大体特定できるそうだ.
あるネットオークションに出されていた「大陸の画家作」とだけされていた男性の肖像画に注目した理由は「カツラと衣服の年代が違う」ということだった.こういう様式が流行ったのはイギリスだけというので、この男性はイギリス人だろうとと予測し、そしてその段階でもう作者を3人の画家に絞れちゃってるの.才能ってこういうことなのね.
結局その絵はあのダービーの創始者であるダービー伯爵家の一員ということがわかり、今年の春国会議事堂に展示された