SHINKANSEN☆RX『SHIROH』@帝国劇場

新感線としてみれば良くも悪くもあっさりとした味付けでした.特に中島さんの話はいつも情念とか人の性[さが]とかを前面に押し出してくるのに、今回は非常に抑え目で全体を俯瞰してみたような淡々とした仕上がりでした.


なので特に不満もないけれども絶賛というわけでもない.あ、終わっちゃったって感じ.
2人のシロウのどちらにも肩入れすることもなく、歴史の中にああいう人物がいたんだなあっていう物語を大枠から捕らえる見方に終始してしまった.


多分今回天の子という役割を与えられている中川君の歌があまり好みではなかったからかもしれない.上手いとか下手とかそういうことの前に声に魅力を感じない.好みの声でもなければ歌い方でもない.好きな人にはたまらないんだろうけどね.残念ながら私の心には届かなかった.泥臭くて人間臭い上川さんの歌の方が私は好きだったけれど、中川君のあの人間味を感じない澄んだ歌声が天の声という意味であれば当たり役なんでしょう.


演出面での注目は、まずはモニターの使い方でしょう.文字や映像を流すだけならよくあるけれど、モニターを完全にセットの一部として利用し、猥雑な町の雰囲気を出していたのが上手いなあって感心した.
もう一つ、やたら客席に飛んでくる照明に新感線を感じた.まぶしいっつーの.どうやら十字架模様の照明が床にいくつも当たっていたりしているみたいなんだけど、いかんせん1階席からはよくわからない.アカドクロの時も2階で見て初めてドクロ模様の照明が使われていることに気づいた.いのうえさんの演出は一度は2階から見るべきなのかもしれない.


一番印象に残ったのは秋山奈津子&高田聖子の姉妹.2人ともかっこよかった.秋山さんはどこの舞台に出ててもお得感を割増してくれる女優だ.新感線で見るのは初めてだけれど、いつか新感線の舞台で古田さんと絡んで欲しい.


じゅんさんと成志さんの使い方がものすっごくもったいない.あれだけの出番であれだけの役ならあの2人でなくても良かったんじゃないか.でも成志さんは出てるだけ動いているだけえ笑ってしまう.なんでスキップしてんだよ.


吉野さんはアンジョよりこっちのほうがずーっと素敵に見えた.泉見くんもマリウスより今回の方が可愛くて本人のキャラにもあってるように思えた.