メディア@シアターコクーン

作:エウリピデス
演出:蜷川幸雄
 メディア:大竹しのぶ
 イアソン:生瀬 勝久
 クレオン:吉田 鋼太郎
 アイゲウス:笠原 浩夫
 メディアの乳母:松下 砂稚子
 守役:菅野 菜保之
 報告者:横田 栄司


感想は後ほど

最前ほぼセンターだったので水よけビニールとタオルが配られました.
左図のような解説書入りです.
ポイントは足元.ビニールに黒いラインがあってそこを目安に足で踏めとスタッフが説明にきてくれました.
念のため荷物用のビニール用ももらって準備万端.
ここまで大掛かりで準備したものの、頭の上までビニールかぶってよけなきゃいけないくらいの水しぶきは1回くらいしかなかった.まあ、その1回で何気に洋服が塗れましたけどね.
芝居を楽しむと同時に最後のドラゴンといいちょっとしたアトラクション気分も味わいました.
あー、今日は中井美穂を見かけました.お芝居好きなんですかね?


ayaちゃんの「橋田ドラマに血が足されたような」という感想には笑った.揉め事の原因は同じでも帰結するところが全然違うのがさすが神の子とでもいうべきか.


【追記】
水がはった舞台に蜷川演出では見慣れた蓮の花がずらっと並ぶ正面に扉があるセット.
最前列からでは水がまったく見えず蓮の花がたまに視界を遮る遮蔽物になってしまった.途中メディアが暴れて折ってくれたので正面がすっきり視界良好となり大変ありがたかった.


今回のコロスは年老いて乳飲み子を抱えた女性たち.ギリシャ悲劇となると多数のコロスと限られた王族あるいは神の子というパターンが多いので、予想通りの蜷川定番演出で特に変わったものはなかった.ただ最後にドラゴンが登場したのは意表をつかれてまんまと驚かされた.


アポロンの子孫である誇り高い女王メディアが、利用するだけ利用した後に自分を捨てた男に憎しみの情をたぎらせるところまではわかる.でもどうして愛する子供達を殺してしまわなければならないのか、そこがどうしても理解できなかった.太陽神ヘリオスの孫娘であり自身も魔女であるメディアにとって、最終的に神の子であるという血筋に人間の血が混じることが許せなかったんだろうか.愛した男そして今は憎むべき男の血を絶やすことは、男に対する究極の復讐なのかもしれない.メディアの場合、そこに人間と神という出自の違いが深く根を下ろしてたように思う.そうでなければ最後ヘリオスからもらった竜の車に乗ったあの人間を見下したような清々しい顔が納得できない.
あるいは他者との関係性から成り立つ「母」である自分、「妻」である自分を拒絶し.ただ一人女として生きていこうという決意表明だったんだろうか.


それまで疲れた母親の顔をしてたメディアが最後の場面では赤い唇もキリっと美しい女性に変貌していたのがとても印象的だった.