オペレッタ狸御殿*3

楽しかった〜.こういう映画大好き.もう1回見たいな.
映画というより舞台を見てる感覚に近かった.ストーリーもどことなくシェイクスピアにありそうなもので、人間ドラマとしてではなく派手な演出のエンターテイメント寄りな、それこそ新感線あたりで舞台にあげてもおもしろいと思う.というかむしろ舞台向き?
ぐぐってみたら『ムーランルージュ』の監督が絶賛してたんだとか.納得.だって『ムーランルージュ』に同じ系統の匂いを感じるもん.そしてどっちも大好きな映画だ.サントラが欲しい.


オペレッタと銘打ってるだけあって歌や踊りが唐突に始まったり、舞台のような書き割りセットを使ったり、スタジオの横長の空間を敢えて押し出してみたりと往年のミュージカル映画の定番演出を使いながらも、いきなりロケシーンに切り替わったり等伯の松林図屏風の松が並んでいたりストップモーションを多様したりと適度なアレンジに遊び心が満載です.
何より鈴木清順にしてはわかりやすい親切な映画だったと思う.だって狸姫の恋に涙したもん.デフォルメがやり過ぎだと感じるぎりぎり一歩手前で抑えられてるから、どんなバカげたゆるい演出も下品になっていない.だからこちらも安心してあの芝居臭い世界に入っていくことができた.


チャン・ツィイー、可憐.彼女はとっても童顔で可愛い顔をしているのに、どこか傲慢な影がちらつくところがとても好き.着物姿も似合ってたし片言の日本語すら可愛いかった.ふわふわと浮世離れしたオダジョー君とのデュエットシーンは、まさにおとぎ話のお姫様と王子様といった雰囲気だった.


平幹二郎由紀さおり、薬師丸ひろこが良かった.特に由紀さおりのびるぜん婆がお気に入り.平幹二郎ギリシャ悲劇かシェイクスピア悲劇ばりの熱演でした.


ところで驚いたのが客席に母親世代祖母世代の観客が多かったことだ.どうやらお目当ては美空ひばりと見た.おそるべし、ひばりパワー.
私にとって鈴木清順監督&チャン・ツィイー出演という2点だけで十分で、かろうじてオダジョー君が出ることは知っていてもそれ以外の情報って特に調べもしなかったから、劇場に行くまで美空ひばりが出るなんてこれっぽっちも知らなかった.客層見て驚いちゃった.
でも意外と若者よりも昔のひばり映画を見慣れてるこういう世代のほうが、かえってこの映画に対するとっつき度はいいのかも.特別奇抜なことをやってるとは逆に思わないのかもしれないな.