シス・カンパニー『エドモンド』@青山円形劇場

作・デヴィッド・マメット 演出:長塚圭史
八嶋智人エドモンド
大森博史:バーテン/サクラ/質屋主人/伝道師/黒人囚
酒井敏也:見物人/売春宿マネージャー/フロント係/教戒師
小松和重:バーマネージャー/詐欺師/質屋店員/取調官/看守
中村まこと:バーの男/チラシ配り/質屋客/ポン引き/警官
平岩紙:ピーピ・ショー・ガール/売春婦/書記
明星真由美:占い師/ホステス/サクラ/帽子の女/看守
小泉今日子エドモンドの妻/サクラ/グレナ

役者も演出も美術もどれも悪くはないのにこの盛り上がりのなさはなんだろう.
戯曲そのものが全然おもしろくない.主人公が袋小路に入っていく様子もなんだか1人から回りしているようにしか思えなくて、どうにも古臭く感じてしまった.自分を省みず全て他人に原因を押し付けておきながら言うことだけはご立派という主人公に、最初から嫌悪感を持ってしまったので、彼がどんなにひどい目にあっていこうが自業自得としか思えず、そんな彼が最後に救いを感じてるのかやけにさっぱりすっきり健やかなのが気持ち悪かった.そんあのありか?っていう.そんなわけでもっとも理解できないのが肝心の主人公だった.
世の中には普遍的テーマというのものがあるとはいえ、こういう戯曲を見せられるとキリスト教圏の人が書くものだなあーって漠然と思ってしまった.私にはわからん.


っていうか、これ、八嶋さんの一人舞台というか座長芝居でいいじゃん.あれだけのキャストがもったいなかった.
「この人がやる」役という意味が出るのが唯一主役のエドモンドだけだから、他のキャストの見せ所がない.あえて言えばキョンキョンと黒人囚をやってる時の大森博史さんはしどころのある役だった.


これは演出とエドモンドの演技でガラっと変わった芝居にもなるだろうと思う.今回、八嶋さんはテンション上げまくりのシリアス演技できていたし、長塚さんの演出ももちろんエドモンドをどんどん追い詰めていくものだった.そうじゃなくて、その追い詰められる(自分で勝手にね)エドモンドのこっけいな一面というのをフューチャーするという手法もありだと思う.戯曲の意図とはかけ離れるかもしれないけれど、私はそういうのを見てみたい.