オリバー・ツイスト

olivertwist.jp


見終わるまでずっと『大いなる遺産』と勘違いしてて、いつまでだっても私が知ってる話にならないなーって不思議に思ってた.なるわけがない.違う話だし.
ディケンズは好きな作家だけど、よく知られているこれは実は未読でした.
子供に対する搾取の仕方っていうのかな、あの時代に労働者としてランク付けられてしまった子供達の扱いを見ているのが辛かった.支配できると思った途端、なんとまあ人は傲慢になれるんだろう.そんな中、ほんの人かけらの優しさがどれほどの影響力を持つことか.
フェイギンを「許して」と叫ぶオリバー.子供を愛することと自らの保身と、その両方を矛盾なく併せ持っているのがフェイギンの不思議な魅力とわかりづらさになってるんだろう.ベン・キングズレーがさすがの好演.冒頭のキャスト紹介で彼が出てることを知り、ずっとどこで出るんだろうどこで出るんだろうって見てたのに結局最後までわからなくて、最後のスタッフロールでようやくフェイギンだとわかったくらい素顔のベン・キングズレーとは程遠かった.凄いなあ.
イギリスの下層社会の状況が非常にリアルに再現されていてた.おかげで貧民街の不潔さがあますところなく伝わってきて、それが子供達の境遇の悲惨さを更に増加させていた.


19世紀前半に大人に搾取される子供をテーマにした小説が出版されていることに驚いたわけだけれども、それについては見終わった後ayaちゃんが言った産業革命の影響という点で納得です.世界で最も早く産業革命をなしとげたイギリスだからこそこの時代にこういう小説が登場したわけだ.日本でそういった社会問題が注目されるのはまだまだ先だよなあ.
映画を見たことだし原作にも手を出そうと思うんだけど、Dickensの英語は物凄く難しいのです.頑張れるかなあ.
ちなみにOliver Twist by Charles Dickens - Free Ebookで英文テキストは入手可能です.