ユメ十夜

東京国際映画祭の先行上映に行ってきた。単純に映画が早く見たかったからチケット取ったので舞台挨拶があるなんて全然知らなかったわ。
監督だったり主演俳優だったりと1話につき1名、計10名のゲストが登場して30分ほど挨拶&撮影が行われていた。
映画を知るきっかけは山本君だったものの、知った後ではあの原作を10人の監督がどう撮るかが興味の中心だった。
とはいえ監督が異なる10作品を見れるということ以外特に詳細を知らずにいたので事前の挨拶での情報がありがたかった。
第3話はこれから撮影ということで今回は9作品のみの上映。挨拶はなぜか英語通訳があったので(確かこの間来日したハリウッドの監督に“日本の妻”とか紹介されてた女性だ)タイミングがいちいちずれるのが面白くもあり話の流れを分断するので残念でもあった。


1話目はプロデューサが登場。
2話目は主演のうじきつよし。クロージング上映されるという『犬神家の一族』がまだ完成していないという市川昆監督のエピソード満載の挨拶だった。90歳過ぎてなお元気一杯だという監督は違う現場でもこの映画について「他の監督はどういう風に撮るのあかなあ」としきりに気にされていたそうだ。
3話の監督が「これから映画を見るかどうかずっと迷っていたけれど、やっぱり見ずに帰ります」と挨拶してた。もともと原作が大好きで随分前から3話を映像化したいと思っていたところにこの話が舞い込んだそうだ。完成品は11月下旬〜12月の何かのイベント上映で見られるらしい。
4話の監督はちょっと伊勢谷くんに似たイケメンでした。子供が出てくるなど他の作品に比べファンタジックな仕上がりになってると思うと挨拶。プロローグとエピローグも担当し、本編が濃いだけに敢えてそこは作家性を希薄にしたんだとか。
5話の監督は……えーっと、顔は鮮明に覚えてるのに話のほうの記憶が曖昧。そうだ、ずっとやりたいと思っていた市川実日子大倉孝二と仕事が出来たことがとても嬉しいとおっしゃってました。
6話からはTOZAWAが登場。金髪とさか頭に真っ赤なテカテカスーツで登場時から異才を放っていた。どういう方か知らなかったけれどダンサーなのね。自分のことも言われてるので恥ずかしいけれどという前置きで「この映画はTOZAWAさんの素晴らしさを伝えるためだけに撮った。ついでに阿部サダヲも素晴らしかった。石原良純も素晴らしかった。何よりプロの監督の方と一緒に出来たのが一番嬉しい」と監督である松尾スズキのメッセージを読みあげていた。最後にちょっとだけ身体能力を披露するパフォーマンスをしてくれた。
7話だけはアニメーションで、監督が、苦手な人も楽しめる仕上がりになってると思う、毛色の変わったのを楽しんでと挨拶。
8話からは主演の藤岡弘。低音ボイスでまったりとこれまた監督のメッセージを読み上げていた。藤岡曰く「撮影してる時は何がなんだかわからなかったけれど、出来上がった作品を見たらなるほどなと、若い感性が出ていてさすがだと思った。」
9話からは主演の緒川たまき。高校時代に原作を読み10話にある「豚に舐められますが好うござんすか」という台詞を口癖にするくらいはまったんだとか。唯一の女性監督作品なので女性らしさの出たしっとりとした作品に仕上がってるので楽しんでくださいと。「原作にある一文をどうしても活かしたかった」という監督のメッセージをまるで朗読劇でもしているかのようにこれまたしっとりと読み上げてくれた。
10話の監督は「緒川さんの好きだという台詞はまったく変えてしまいました。すみません。」と笑いをとっていた。多くの監督が「まさか自分が漱石を撮るとは」と挨拶していたけれど、おそらく自分が一番それを感じてると思う。これまでどちらかというとコメディーとかが多くて、自分になぜこの話がと驚いたけれど10話だと聞いてこれなら自分が出来るだろう納得。プロデューサから最後だからぱーっと派手にと言われたので、自分のやりたいように派手に撮った、と挨拶。


上映時間は約100分。3話が追加されてもせいぜい120分程度だと思われる。
同じ漱石の作品だというのに本当に10個が10個まったく違う個性の爆発であっという間の100分だった。原作が短いからこそ各監督が自由に想像力を働かせていて、あれがこうなるのか!と驚きの連続だった。
上映後「もう少し真面目に撮ればいいのに」って感想を言ってる人がいたけれど、思わずそんな感想が漏れるくらい自由奔放な作品群でした。
原作を読み直してからもう一度見に行こう。

プロローグ

イカラさんな戸田恵梨香が可愛い。

1話

役者松尾スズキが見られます。大正ロマン風な退廃的な色使いにキョンキョンの個性がぴったり。

第2話

モノクロ。アップの多用やアングルなどとても黒沢風。一番原作に忠実な仕上がりだった。

第4話

大人になった漱石が子供の頃療養にきていた田舎でタイムスリップのような体験をするというストーリーになっていた。幼い頃のほのかな恋心、ハーメルンの笛吹き男を彷彿とさせる蛇使い、ノスタルジーと繰り返しを暗示させる不安と安心などが織り交ざったファンタジックな作品。

第5話

現代に置き換え「鶏が鳴くまでなら待つ」というフレーズと女と馬をモチーフにまったく新しい作品に生まれ変わっていた。恐ろしい心象風景が何故かユーモラスに笑えてしまった。

第6話

最高でした。阿部サダヲ最高!TOZAWA最高!終わった後に思わず拍手が起こってた。
電車男風2ちゃんノリに多少古臭さを感じないわけではなかったけれど、モノクロ映像とヨタロウさんの音楽とでやけにパンクなかっこよさに溢れてた。
松尾さんのメッセージにある通り役者の力技でもってった感じが無きにしも非ず。でも抜群に楽しかった。

第7話

天野喜孝の絵が堪能できます。最後の赤い魚の美しさといったら!空を舞う赤に感動。ただ台詞は日本語でお願いしたかった。

第8話

原作のどこがどうなるとこれになるのかさっぱり。一番意味がわからない作品だったなー。面白いけど。

第9話

全作品の中で一番情緒に訴える作品となっていた。それまで湿っていようが乾いていようが日常を感じさせない言葉が多かった中で、いきなり登場する夫婦の会話の泥臭さに驚いた。普通の会話が一番異質な空気を放っていた。

第10話

パワフル!
脚本:漫☆画太郎(どういうマンガを描かれているのかは寡聞にして知りません)というだけあって非常にギャグマンガテイストなエネルギッシュな作品。松山ケンイチは撮り方によって顔が違って見えるのでTV向けというより映画向けの俳優だね。本状まなみがいい。

エピローグ

相変わらず戸田恵梨香が可愛い