美しき夏キリシマ

監督の自伝的映画らしい。終戦間近の宮崎に生きた女性や子供をメインに描いたもので、戦争映画には反射的に拒否反応を示してしまう私でも興味深く見ることが出来た。
沖縄戦の悲惨な様子が伝わり村には軍が駐屯して出撃を待っているというのに、真っ青に晴れた空、美しくのどかな自然、清潔で広い主人公の家など、普段戦争という言葉から想像する景色とはまったく異なる風景画広がっていた。
戦争映画というと暗く悲惨な状況ばかり前面に押し出されるのが常で、戦時中の日本人はみんな眉が上がり目を三角にしてキリキリしてたのかと思っていたけど、こんな穏やかな日常もあったんだ。
普段の生活の間隣に命を散らせる日常も転がっているのが戦争の特殊性か。
何故自分が生き残り何故友人が死んでしまったのかと悩み傷つく主人公の男の子の感情を表に出さない平坦な演技が押し付けがましくなくて良かった。
女性が一様に美しかったのも◎。