お気に召すまま@コクーン

作:シェイクスピア 演出:蜷川幸雄
成宮寛貴 小栗旬 吉田鋼太郎 田山涼成 高橋洋 月川悠貴 大石継太 他

ほぼ同じキャストでの再演です.初演に比べるとどうしても初々しさは減ってしまったものの、やはり楽しい3時間でした.シェイクスピアのこの手の変装物の喜劇は大好き.小栗君や成宮君登場で客席が浮き足立つ雰囲気も、こういう喜劇にはむしろお似合いというか、劇場中が華やかなお祭り気分に包まれて良い空気でした.
成宮君の滑舌は相変わらずのひどさだし、力技すぎる小ネタに失笑が漏れそうになったり、個人的にフィットしない演技の人がいたり、探せば気になる点はいくつもあるけれど、シェイクスピアの喜劇を人気者を使って比較的オーソドックスな演出で見せてくれるのはありがたい.男性が女性を演じることによって、過剰な女性演技が鼻につかないのも利点の一つ.あの演技を女性がやったら笑う前に嫌味に感じてしまい笑えなさそう.
まだ初日あけて間もないせいか、キャスト全体が噛み気味だったけど、不思議とあんまり気にならず.なんだろう、初演が気に入ってたせいかやけにハードル低くしちゃってる気がしないでもない.小栗君&成宮君のペアはじゃれあってる感じがいい.小栗君がサポートしてるというか見守ってる感じが役柄とあってる.私は月川くんの演技がいつ見ても面白くて面白くてしょうがない.どんな役でも一様に体温が低くて感情の起伏のない演技で成立させちゃってるのが凄い.高橋さんのジェイクイズはなんかピンと来ない.演劇史に残る名台詞を吐くジェイクイズという役柄自体、この芝居の中でどう捕らえていいのかわからないのがそもそもの原因かと.難しい役だよね、これ.よくわからん.吉田さんの王様は大好物.田山さんの道化も素晴らしい.
がしかし、今回客の視線を一番惹きつけてたのは最近大人気の小栗君でもなくキュートな成宮君でもなく、間違いなく羊のメイちゃんだと思われます.されるがままのあまりの大人しさに目が釘付け.可愛いあまりメイちゃんが舞台上にいると台詞がちっとも入ってこないから参った.