ナイロン100℃『ハルディン・ホテル』

ケラさんの芝居って、見てるときはとっても楽しいんだけど、いざ終わって見ると何も残らないことが多い.今回もまさにそのパターン.『フローズン・ビーチ』みたいに少人数の芝居はまだいいんだけど、大人数の芝居になっちゃうとあちこち意識が拡散してしまって全体の感想が無い.別の観点から見れば誰かの座長芝居にには絶対になってないってことだよね.あれだけの役者を揃えているナイロンだからこそ出来る技か.


ナイロンの芝居からは、こうなればいいなっていう方向から、ちょっと、ほんのちょっとだけずれちゃった世界、本来あるべき世界がすぐ隣にあるというのに絶対に交わらないどこか歪んだ世界をいつも感じる.


どんなサスペンスもどんなバイオレンスも全部ぬるーい空間で進行していくから、観劇後に新感線や大人計画みたいな爽快感がないのが特徴かしら.


いつもは苦手なみのすけさんが今回はとても良かった.あの何事にも動じない淡々とした雰囲気で、真相がわかった時の不気味さ倍増.三宅さん、犬山さん、松永さん、大倉くんあたりは言うことなし.個人的に楽しみにしてた小林さんの出番が少なかったのが残念.