青山真二監督『Shady Grove』
- 出版社/メーカー: タキ・コーポレーション
- 発売日: 2000/04/28
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ARATAの甲野役はぴったりだった.ARATA本人が持つ生活観のない浮世離れした雰囲気のおかげで、特に細かい説明が無くても甲野という人物がどういう人なのか伝わってきた.というより何より、甲野って名前だけで惚れてしまうのですよ.『虞美人草』の甲野さんといえば私にとって「日本文学二大良い男」の一人なんだもん.ちなみにもう一人は『彼岸過迄』の市蔵さん.おお、そういや「あなたは不親切だ」と言って叔父の前で泣く市蔵さんもARATAならはまり役じゃないですか.
問題はそういう甲野がなぜリカに惹かれていったのかその過程にどうしても納得いかないことだ.「死んだ妹」というキーワードだけってのは弱いでしょ.なんかそれだけを提示されても、あまりにも性格の違いすぎる2人の今後がまったく見えてこないんだもん.あの森の中で夢のような生活を送るだけならいいんだけどね.
映像の美しさを断片的に切り取るならばかなり好きな映画だけど、物語としては弱い.ただこういう映画にはそういう見方は適していないのかもしれない.イメージ映像の連続といったようなフワフワした感覚を受け取らなくちゃいけないのかなあ.