BOYS TIME

◆演出◆宮本亜門
◆音楽◆ウルフルズ
音楽監督トータス松本
◆脚本◆土田英生

◆出演◆
藤井隆  福田転球 斎藤直樹 松谷賢示 伊藤明賢
藤森徹 宮川大輔 佐藤隆太 森山未來 山本耕史

おもしろーい、というより、楽しい! 買ってよかった.まじで良かった.
買うの、結構悩んだんだよね.というのも「BOYS TIME」というタイトルがひっかかったから.この作品のビデオを知った時は、藤井隆山本耕史と転球さん以外知らない人ばっかりで、しかもこのタイトルでなんで転球さんが出てるのかも謎で、しかもしかも音楽がウルフルズで、てっきり若い男の子達がジャニーズばりに歌い踊るのだとばかり思って興味がもてなかったの.


が、見てびっくり.これのどこが「BOYS」なんだ! 転球さんが出ててもなんの違和感もない.明らかにBOYSと呼べるのって森山未來君とかろうじて佐藤隆太君くらいじゃん.ちょっとくたびれ感の漂う男達が息きらせて歌い踊るさまのなんと味のあることか.これ生で見たかったなあ.生で見たらきっと出てる人全員好きになっちゃうような、そんな舞台だった.


1部、3部が話の本筋で、2部はほぼ独立した形式のショータイムといった構成.
脚本はMONOの土田さん.うーん、話の出来は正直いまひとつ.特に芝居がメインの3部は土田さんならもっと上手くまとめられるはずだ.誰もが予測できる結論に持っていくのに、少し強引過ぎる印象をもった.でも、この舞台の魅力はそんなことでは全然なくて、もうストーリーなんてどうでもいい.舞台上にいるBOYSそのものが魅力的だった.2幕は10人のBOYS達が一生懸命歌って踊ってお客さんを楽しませようとしてる姿にこっちまで楽しくなってきちゃった.さむーいギャグもさすが吉本の芸人さん達が混じってるせいか、フォローが上手くていたたまれない気持ちにはならずにすんだ.


一番のお目当ては当然ながら山本君.2部最後の『あの娘に会いたい』にノックアウト.これ1曲だけでもビデオ1本分の値段を払ってもいいくらいだ.そのくらい感動してしまってここだけ鬼のようにリピート.こんな歌聴かされたらたまりませんよ.山本君は何曲かソロを披露してるけど、この曲が一番声と歌い方に合ってて良かった.岡さんのような正統派ミュージカルな歌い方でこそないが、それでも滑舌の良い綺麗な歌い方なので、いわゆるロックなノリの曲だと綺麗過ぎる気来がなきにしもあらず.こういうのはちょっとダミ声の松谷さんとか宮下さんとかのほうが合ってたと思う.でも途中のプレスリーの物真似は低い声が似てた〜.演出の亜門さんとは何度か一緒に仕事してるはずなのに、後でインタビュー記事とか見ると亜門さんですら山本君のダンスは見たことがなかったらしい.てっきりいつも舞台である程度は踊ってるかとばかり思ってた.でもそんなことは全然気づかせないほど踊ってました.何より驚いたのは激しく踊った後、間髪入れずに息も乱さずバラード歌いきってたこと.劇中では彼女に振られたばかりの元イラストレーターという、濃いキャラクターの中で一番まともな一番社会性のありそうな役をやっていた.藤井くんとは別な意味でみんなのまとめ役っぽかった.


藤井隆、どうやらいろんなレポを読むとスケジュールの関係で練習不足だったらしい.が、狂言回しの役をうまーく演じてておもしろかった.歌も踊りもこなしてたし好感触!


一番驚いたのは森山未來君.オーディション組で当時15歳ということだけど、彼は一体何者?亜門さんが記者会見で「天才.ガブローシュで山本君を見たときと思い出す」って言ってたけど、ほんとこの子は何でも出来るのね.とにかく踊りが凄い.この中で一番踊れるんじゃないかしら.ターンや腕の使い方を見るとバレエの基本とかもきっちりやってそう.歌も歌えるしハーモニカも吹いてたし、滑舌さえ良くなれば(今はばっちりなのかもね)演技もいけるし、いやあ、凄い子だ.


転球さん、周りと多分それほど年齢変わらないはずなのに一人40代のおじさん役をやってました.ミュージカル科卒という経歴をいかんなく発揮されててかっこよかったっす.


現在大河に又三郎として出演中の松谷さん、この方にもびっくり.なんでこんなに踊れるの?なんでこんなに歌えるの?みんないろんな特技を隠し持ってるんだなあ.


佐藤隆太君もオーディション組らしい.なんつーか、いっつも力いっぱい元気いっぱい、元気だけが取り得ってキャラはそのままなんだ.愛すべきキャラクターだこと.


ダンサーでない藤井君や山本君でも踊れるくらいのものに統一してあった踊りの振り付けも、2部の『ワルツ』だけは踊れる4人だけでチーム組んでかなり高度な振りが付けられていた.この『ワルツ』とその後の『あの娘に会いたい』は一番好きなシーンだ.
こういう舞台ほど生で見た印象と映像での印象が違うはずだから、生で見てた人がうらやまし〜.