市川海老蔵 襲名披露興行 昼の部＠松竹座
ロビーには菊ちゃんママの富司純子がいたり、海老に三桝の帯をした女性がいたりと初日の華やかな雰囲気の中3階から見てきました．全体的に熱狂度は東京の方が上かなあ．歌舞伎座だとまるで自分の息子や孫の発表会を見るかのように興奮したおば様おじ様方が一杯だけど、松竹座はそういう感じではなかった．難を言えば大向こう．ちょうど近くにいた人がすっごい下手！役者の台詞にかぶりまくりでタイミング悪いったらありゃしない．しかも「そこでかけますか」って首をひねるところでもかけまくり．特に『源氏店』では気になった．
一．松廼羽衣
天女：時蔵
漁師伯竜：権十郎
ニ．俊寛
俊寛僧都：仁左衛門
丹波少将成経：秀太郎
海女千鳥：時蔵
平判官康頼：翫雀
瀬尾太郎兼康：段四郎
丹左衛門尉基康：我當
三．口上
新之助改め海老蔵
雀右衛門 他
四．与話情浮名横櫛
与三郎：新之助
お富：菊之助
蝙蝠安：市蔵
和泉屋多左衛門：段四郎
鳶頭金五郎：菊五郎
松廼羽衣
踊りでした．歌舞伎座だったら絶対眠くなるタイプの踊りなのになぜか松竹座では平気だった．天女が羽衣をはおって天に昇るという最後は、1階からだとパーッと景色が変わって綺麗だったろうなあ．3階だと奈落が丸見えなのが残念だった．
俊寛
仁左さんの俊寛は二度目かな．寝不足がたたったのかまさかの俊寛で眠くなりました．あまり好きな話じゃないしなあ．今回一番のみどころは初心な島娘を熱演する時蔵さん．あまりに首と肩を動かすから最初時蔵さんだけ人形振りしてんのかと思っちゃった．そのくらい普段の時蔵さんと違っていて思わず注目してしまった．
与話情浮名横櫛
菊ちゃんがお富をやるっていうんで久しぶりの新ちゃんと菊ちゃんのペアを見るためにこのチケットを取ったに等しい、そんな一番のお目当てだったのに、しまったこの話って与三郎＆お富のツーショットがほとんどない！だったら鳥辺山のほうが見たかった．でですね、これはちょっと辛口になります．海老蔵も菊之助も大好きな役者だし、今回もいつものように二人とも本当に綺麗だった．でもね、でもやっぱり世話物は難しいんだね．仁左さんと玉さんの与三郎＆お富と比べちゃいけないんだろうけど、あの二人は偉大だなあって改めて思った．仁左玉コンビだとあんなにおもしろいのに、なんだか今回は間延びしちゃってた．特に源氏店の場面がいまいち．市蔵さんの蝙蝠安もなんか違ったな．全員がまだしっくりきてなくてぎこちなかった．初日ということをさっぴいても期待はずれ．
羽織が無事落ちるかどうか少しはらはらしたものの、見初めのシーンの海老蔵はまだ良かった．菊五郎さんのとの息もあってた．天然ボケお坊ちゃんは意外と似合う海老蔵．が、お富を強請りにくる例の有名台詞のあたりはパリッとしたとこがなくて台詞に踊らされてる感じがしてしょうがなかった．本来名調子であるべき台詞にのっていけずに、カクンってブレーキかけられてしまうの．『十六夜清心』は予想より良かったから、与三郎も回を重ねたら素敵に演じられることでしょう．
菊ちゃんも一生懸命仇っぽさを出そうと声を変えたり喋り方に工夫をしてるのは見受けられた．眉つぶした化粧も意外に似合ってて綺麗だった．でも菊ちゃんって硬質な雰囲気あるからどうしてもこういう役に必要な色気が足りない．お姉ちゃんはあんなに色っぽいのにねえ．やっぱりまだ若いなあ〜ってどうしても思ってしまう．若いんだからもっと可愛くいちゃいちゃする演目が見たいよー．
