『炎上』(1958)

原作:三島由紀夫 監督:市川昆
市川雷蔵 仲代達也 中村鴈治郎 中村玉緒 新珠三千代 北林谷栄

三島の『金閣寺』を元に映画化されたもの.三島は一時期はまったのでほとんど読んだけど、これはテーマに興味がもてなくて未だに読んでません.どんな理由があれ国宝を焼いてしまうという行為がどうしても許せないので、文学とはいえ手が出せなくていた.が、映画の中では金閣という名称が使われておらず客観性が強まっていたので冷静に見ることが出来た.
白黒だしテーマはこれだしいきなり市川雷蔵はドモリの坊主だし、こりゃつまらんかなーって思いきや、おもしろいじゃん.もともと心を閉ざし気味な主人公が、師匠、母親、正反対の友人たちとの関わりの中で、在る方向にどんどん心を決めていくというか頑なになっていく様子にどきどきした.原作が読でんみようかな.
市川雷蔵はほとんど台詞がないかわりにアップの表情がとてもいい.若くてギラギラした仲代達也はちょいやりすぎな感も否めないが淡白な雰囲気の市川雷蔵との対比が効いていた.仏道と世俗との折り合いに心悩ます鴈治郎の坊主が良かったなあ.