吉例顔見世 海老蔵襲名披露@御園座 夜の部 

一.一谷嫩軍記 熊谷陣屋
熊谷:鴈治郎 相模:時蔵 藤の方:扇雀 堤軍次:信二郎 弥陀六:我當 義経富十郎

二.口上
 新之助改め海老蔵 雀右衛門 他幹部俳優出演

三.助六
 助六新之助改め海老蔵 揚巻:菊之助 白酒売:松緑 白玉:亀治郎 口上:権十郎 意休:段四郎 満江:田之助 門兵衛:富十郎

熊谷陣屋、沈没.朝早くて寝不足だったのを言い訳としよう.
今回まったく配役をチェックしてなかったので、鴈治郎さんが熊谷初役ということも御園座に着いて初めて知った.そうだろうなあ、普通相模やるだろう.
ところどころ意識のあった際の記憶では、例の熊谷の名台詞「十六年は一昔。夢であったなぁ」を花道ではなく舞台上で言ってたのにびっくりした.
最後も妻の相模と一緒の引っ込みで、ぼんやりした頭でもさすがに普段見慣れた熊谷陣屋とは違うってことだけはわかった.
後で調べてみたら、今まで見てた丸坊主になった熊谷が引っ込み時に「十六年は一昔。ああ夢だ、夢だ」というのは團十郎型らしい.で、今回見た段の上で「十六年…」の台詞を言い、切りっ放しの髪で相模と一緒に引っ込むのは芝翫型なんだとか.ちなみに人形浄瑠璃でも最後は相模と一緒の引っ込みらしい.
上方歌舞伎に思い入れの深い鴈治郎さんのことだから、浄瑠璃に近い型を選んだってことなのかしら.


口上では相変わらず汗だくの新ちゃん、もとい海老蔵が心配です.
歌舞伎役者であそこまで顔に汗をかいてる人ってそうそう見ないからなあ.

今回名古屋遠征を決めた一番の目的は『助六』の揚巻が菊ちゃんだったから.玉さんに比べたらそりゃ貫禄ないし、まだまだ台詞回しもぎこちなかったけど、海老蔵菊之助のツーショットが見られただけでも良しとするか.この2人のペアは大好き.くっきり掘りの深い海老蔵に、どちらかというと平坦な菊ちゃんと、顔立ちが正反対なところがいい.
玉さんの揚巻の後だとどうしても衣装を比較してしまって不利だよねえ.玉さんの衣装ってば物凄いんだもん.菊ちゃんの硬質でプライド高そうな感じは雀右衛門さんよりは玉さんに近いと思う.意休とのやり取りがもう少し滑らかになればいいな.
意休は段四郎さん.ここのところ左團次さんの独擅場だったから新鮮でした.
御園座は貧乏席でも花道がしっかり見えるのが嬉しい.歌舞伎座では花道のポージングが見づらかったので今回は目の前でしっかり堪能しました.
新ちゃんはちょっとずつ助六の演じ方を変えてるのかしら.どこがどうとは説明できないけど、歌舞伎座の時とは違う印象だった.やんちゃなのに憎めない助六海老蔵にぴったりだね.啖呵きるのもかっこよいけど、ボケてるところが可愛すぎる.しかーし、口跡がどんどんパパに似てくるのはいかんともしがたいのか.
助六で気になるのが白酒売.今回の松緑は初めて見たけど予想よりは良かった.しかしマイベスト白酒売は時蔵さんなのだ.
通人の松助さんは歌舞伎座同様冬ソナネタでやんやの喝采を浴びておりました.奥様方は冬ソナ好きなのね…