畠中恵『ぬしさまへ』

ぬしさまへ しゃばけシリーズ 2 (新潮文庫)
大店の坊ちゃん一太郎と彼を守る妖怪達推理劇第二弾.
一太郎と同じ父親を持ちながらまったく違う境遇にいる義理の兄松之助に起こった出来事を追った「空のビードロ」が一番好き.松之助が感じたこのままこの生活が続くんだろうかという漠たる不安、日常が一瞬の火事で消えうせた時に押し寄せる圧倒的な孤独、そんな自分を気にかけてくれていた人がいたと知った時の安堵感といった感情の動きがストレートに伝わってきて、たまらなかった.
手代の一人、超美形の仁吉がお気に入りです.その仁吉の片思いがテーマの「仁吉の思い人」では、なるほどそんな過去がねえって仁吉が一太郎に甘い理由にも納得です.
既に4作まで出てるみたいですが、文庫に落ちるまで待ちましょう.