藤田嗣治展

展覧会情報藤田嗣治展


楽しみにしてた藤田展、ayaちゃんと一緒に行ってきた。
予想通りの人出。後半はもっと凄いことになりそう。
乳白色の肌を堪能したければ閉館間近がお勧め。「裸婦の世界」は2つ目の部屋なので閉館近くなると人がいないので絵を独り占めできる確立が高い。


時代別に展示してあるので、画風の変遷が如実にわかる。
ダントツで1920年代の『裸婦の世界』が好き。油絵の技法のことはよくわからないのだけれど、油彩なのにどうしてあんな質感が出るんだろう。言われている通り、磁器の表面を見ているみたいに滑らかでマットな艶感があって、こんなの見たことない。これは画集や映像じゃ伝わらない。
黒い細い線は何で描いてたんだろう。自画像の中に面相筆のようなものと硯があったから、墨で引いてるんだろうか。
磁器のような白の中で、自画像の一つはどことなくパステルのような質感だったし、いろんな技法を駆使してるんだろうなあ。この間NHKでやってた藤田特集番組を見たら少しはわかるんだろうか。


次の『色彩の開花』では中南米を旅して色に目覚めた絵が1930年代の展示してあった。確かに輪郭だけ見たら20年代と同じなのに、そこに色が載っただけでこうも印象が違うとは。前の時代のモノトーンに近い絵のほうが好きだけれど、『室内の女二人』の構図と散りばめられた小物使いは好き。


パリに行ったばかりの頃の絵は、スモーキーな色使いやいわゆるブサ可愛いと言えそうな表情の女の子など、むしろ今流行のイラストに近いと思った。『人形を持つ子供達』とか今の若い子が好きそう。


戦後パリに戻ってからの絵はいわゆる西洋風になっていったように見える。裸婦と同時期に描いた宗教がは、琳派のような金箔の背景に空間をたっぷり使った構図をしてたのに対し、60年代の宗教画は画面を埋め尽くすように人や背景が描かれていた。日本画に近い20年代の絵のほうがしっくりくるのは、ここ最近の自分が日本画好きだからだろうか。


はっきりいって女性を描いた絵に作者のセクシュアルな興味を感じることは全く無かった。個人的な執着を感じないというか。それに比べ猫や子供に対するあの愛情は何だろう。好きじゃないと描けないだろうっていうくらい垂れ流しの愛情が絵に溢れてた。自分が猫好きということもあって、画面に登場する猫には毎回釘付けだった。傲慢なほどアゴを上げて見下す視線の猫が可愛すぎる。


最後に画集かポストカードと思ったけれど、実物の魅力とあまりにかけ離れているのに驚いて一瞬買うのを止めようかと思った。実物と違うのは当然のことだけれど、今回はいつも見慣れてる落差どころの話じゃなかったので本当に驚いた。
とはいえ、4枚だけカード買いました。