魔界転生@新橋演舞場

【原作】山田風太郎 【脚本・演出】G2
柳生十兵衛中村橋之助天草四郎成宮寛貴/お縫:藤谷美紀/お品:馬渕英俚可/お銭:遠藤久美子柳生但馬守六平直政/荒木又右衛門:山本亨/牧野兵庫守:千葉哲也徳川頼宣升毅宮本武蔵:西岡紱馬
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木村助九郎・松平伊豆守:蛍雪次朗由比正雪:笠原浩夫/金丸内匠:陰山泰/三枝麻右衛門:関秀人/小栗丈馬:中村橋弥/小屋小三郎:山雄介/北条主税:内田滋/川崎忠右衛門:及川直紀 /津島源右衛門:大月秀幸/伊達佐十郎:坂田聡/逸見瀬兵衛:福田転球宝蔵院胤舜:田尻茂一/八代九兵衛:園岡新太郎

ほとんど期待せずに行ったので思いのほか楽しく見られた.でもよく考えたらネタ部分が楽しかっただけのような気がしないでもない.
山田風太郎の剣豪オールスター物のダイナミックさや魔界の怪しさは全くなく、さらっとした味わいの魔界転生だった.一番の原因はどの剣豪もさほど強くは見えなかったこと.十兵衛に武蔵に又右衛門ときたら、そこはやっぱりアテルイとか髑髏城のラストの立ち回りくらいの迫力が欲しいと思っても無茶じゃないよね…………無茶か?
女性陣のもったいない使い方といい通常の歌舞伎と同様11時から15時半くらいまでじっくりやっても良かったと思う.唯一カタルシスに近いものを感じたのは天草四郎の最期だった.それまでの成宮君は、まあいつもの如く滑舌に難ありであまり魅力的な天草四郎とは言えなかったけれど最期は良かった.彼もまた救いを渇望する青年でしかなかったという哀れさがあった.
G2は花道付劇場の演出は前にもやったことあるんだっけ?敢えて花道を意識しない演出だった.建物が歌舞伎っぽく作ってあるのに比べ書き割りの背景がなかったので小さく見えたのが残念.1階正面から見たら奥行き広く見えたのかなあ.ストーリー把握という意味で2幕(3幕?)最初の地図解説がありがたかった.解説だと思ってみてるから物語をはしょっても不自然じゃないし、何がどこで起こっているのかを地理で理解できて物語がぐっと身近になった.


今回橋之助と成宮君以外誰が出てるのかさっぱり忘れていたので、柳生七人衆や剣豪達が誰が誰やらさっぱりわからないまま1幕が過ぎてしまった.見てるうちに気づいたのが由比正雪の笠原さんとお品の馬渕英俚可だけってのは我ながらどうかと思う.ま、3階席だしオペラグラス忘れたししょうがないということにしよう.
幕間にチラシをチェックして驚いた驚いた.なーんだ、右を向いても左を向いても小劇場で御馴染みの顔ばかり.升さん、転球さん、坂田聡、山本亨、陰山さん、関さん、内田君などなどわかってみればそうとしか見えない.なんで1幕目でわからなかったんだろう.演舞場と聞いてぱっと思いつかない顔ぶれだったから惑わされたー.こうやって並べると本来演舞場をホームグランドにしている橋之助が一番浮いてるキャスティングだったのね.でも芝居の中ではまったく浮いてなかった.ただ主役としての華に欠けるのが惜しい.
全体的にそこそこ楽しいけれど特筆すべきこともなくという出来だった.