から騒ぎ@彩の国さいたま芸術劇場

演出:蜷川幸雄 脚本:W. シェイクスピア 翻訳:松岡和子
小出恵介高橋一生長谷川博己、月川悠貴、吉田鋼太郎瑳川哲朗 他

彩の国シェイクスピア・シリーズ第20弾のオールメールシリーズ.
まずー、斜め後ろにいた人たちが劇中に普通にお喋りする人で参った.コソコソ話じゃないの.あれ絶対リビングでTV見ながら喋ってるのと同じ感覚だったよ.偏見かもしれないけどTVの人気者が出る芝居ってこういう人に多く遭遇する気がする.おかげで冒頭イライラしてしょうがなかった.自分のチケットがこんな人たちのために無駄になるのは悔しいからなんとか気にしないように頑張ったけど、出来ればこんな努力はしたくない.真後ろだったら絶対注意するけど微妙にずれてると、逆にこっちが迷惑な人になっちゃうし、周りの人は気にならないのかなあ.

コメディのオールメールシリーズはシェイクスピアらしくて好き.歌舞伎みたいに女性を客観的に見れるし.月川くんはいつもの如く.サイレント映画の女優のようなfaintに目を見張った.高橋一生のビアトリスはまずあの早口の長台詞を言い切ったことが素晴らしい.あの冗長で説明だらけの台詞って日本語だとそれなりに聞かせるのって難しいと思うんだけど、そこはかなり頑張ってた.もう少し高慢ちきに見えても良かったかも.高橋ビアトリスはほんわかと優しい女性だった.
小出君のベネディックは可愛らしすぎ.どうしてもどうしてもケネス・ブラナーのベネディックがちらついて、そりゃ小出君じゃ可愛すぎるわな.実はビアトリスもエマ・トンプソンがちらつきまくった.小出君は初舞台にしては良かったと思うけど、いいね!って部分ともうちょい!って部分の差がでかいのが気になった.早口で畳み掛ける長台詞になると聞き取りづらくなっちゃうのが残念.テンポの切り替えとか笑いにもってく力とかは十分あると思うので、次はもう少し若々しくて子供っぽい役で見てみたい.あと並ぶことの多かった長谷川博己が上手い&スタイル抜群なのもあってちょっと損してたかも.
物凄い楽しかったっていうとそうでもなく、でもそれって「から騒ぎ」という作品自体がシェイクスピアにありがちなネタの寄せ集めみたいなとこがあって、作品自体ワクワクするものじゃないのが一番の原因.そこは突っ込むとこじゃないのは重々承知だけれど、ヒアローを死んだことにして従姉妹と結婚させようとする強引さに冷める.そこは本人でいいんじゃない?それを素直に受け取るクローディオの罪悪さんの希薄さにもがっくりくる.いや、そんな野暮な突っ込みはいらない作品だとはわかってるけどさー、やっぱねえ.