蛮幽鬼@新橋演舞場

作:中島かずき 演出:いのうえひでのり
上川隆也 稲森いずみ 早乙女太一 橋本じゅん 高田聖子 粟根まこと 山内圭哉 山本亨 千葉哲也 堺雅人
右近健一 逆木圭一郎 河野まさと 村木よし子 インディ高橋 山本カナコ 礒野慎吾 中谷さとみ 保坂エマ 村木仁 川原正嗣 前田悟

1階9列33番
花道は遠かったものの9列目という見やすい席で楽しんできました.先入観持つのがやなので前評判を一切入れずに行ってみたら、事前の不安もなんのそのとても楽しめました.今回メインを張る役者陣が新感線ファミリーではない(主役はおいといて)ことと、歌舞伎ものは当たり外れがあるってことでちょっと恐る恐るなところもあったけど、やー全然心配することは無かった.
話はもろモンテ・クリスト伯.デュマ作品は好きなので全然あり.違うところは主人公が流されすぎというか騙されすぎというか、最後にラスボスとの戦いを残しておかなくちゃいけない新感線ならではのキャラ付けになってた.あと主人公とヒロインの関係に甘いところが無いのも新感線らしいなーと思った点..ミコトがもう少し弱い女性だったらあんな悲劇も生まれなかったかもと思うと切ない.
歌舞伎物では途中だれるシーンが結構な確立であったりするんだけど、今回は1幕も2幕も一切だれることがなかった.人間関係や展開が単純で伏線が少なかったのが功を奏したと思われる.あと小粒な悪党と本当の悪党の対比が非常にわかりやすく描かれてたのもダレなかった一因かと.個人的には国を治めるために宗教を手段としてるあたり最近古代史に凝ってるのでなかなか興味深いものがあった.唯一ラストの決着がそれまでの悪巧みに比べあっさりしてるのが不満といえば不満なところ.
上川さん、実はあまり得意な役者ではないのだけれど、さすがに上手い.SHIROより断然良かった.今回白髪&濃い目のアイメークなのも良かった.どんなに鬼になろうとも真面目で頑固で人の良いところが残っているのが上川さんらしいなーと.だからこそのキャスティングなのかと納得.
対する堺さん、まさか堺さんがラスボスとはキャストを聞いた時には思いもしなかった.愛され愛することを知らずに育ち知ることすら拒否した哀しい人でした.身体を動かすイメージがまったく無いのだけれど、流れるような立ち回りが美しかった.メリハリのある台詞回がさすが.微笑みが随分とネタとして台詞に含まれていてそれがちゃんと受けてた.堺さんの微笑みの一般認知度の高さを思い知った次第.
稲森いずみ、生の舞台を見るのは初めてじゃないかな.この人もいいですね.凛とした強さ美しさがあって立ち姿が綺麗.ドスの効く声もいい.一人だけ顔ちっちゃー.線が細いのに強い印象があってそれがミコトを更に強い女に見せてた.
早乙女くん.立ち回りに見惚れます.身体のさばき方が美しい!早い!若いって素晴らしい!最後までミコトのために働いた姿に涙です.山内さんの飄々とした悪役も期待通り.黒幕千葉さんは既に登場時からどことなく怪しい雰囲気まとってて、そのさじ加減が絶妙でした.
じゅんさんは凄いとしか言いようがない.確実に笑いを取る天才です.聖子さんも粟根さんも適材適所で言うことなし.今回の出色は右近さん.凄く可愛らしい大王になっててびっくり.川原さん&前田さんの出番が少なかったのは殺陣指導に専念したってことなのかな?
和洋折衷ならぬ和華折衷とでも言うような衣装が素材&デザイン&色のどれもが素敵でした.洞窟のビニールセットの大胆さに驚いた.堀尾さんの新しい試みか?
あと2回、楽しみです!