R.U.P.プロデュース　つかこうへいダブルス『幕末純情伝』

作：つかこうへい　演出：杉田成道沖田総司：広末涼子　坂元龍馬：筧利夫近藤勇：こぐれ修　　桂小五郎：鈴木ユウジ岡田以蔵：山本亨　　土方歳三：吉田智則勝海舟：春田純一　　岩倉具視：武田義春

ネタばれあり．注意！＞妹
何日もかけてようやく見終わった．つかこうへい舞台は縁がなくてこれが初見です．

確かに昔いのうえさんが憧れたのがわかるテイストだった．ただこちらのほうが「力いっぱい」でぬるいところがない．役者の濃さが比較的カッコイイ方へ傾いているので、傍観者として見始めてしまうといつまででも傍観者のまま取り残されてしまった．あと、昭和歌謡曲っぽさ満載のちょっとダサめの選曲が性に合わなかった．テーマソングはエレカシっぽいし（ほんとのところはわかんないけど声がエレカシ宮本そっくりだった）、挿入されるてるのもロックじゃなくて歌謡曲なの．新感線とは別な意味で暑苦しいタイプの芝居だった．
達者な役者揃いで演技にはそんなに文句はない．ただテーマが悪かった．『新選組！』にはまってる今、これを見るのはかなりの苦行だ．「こんな新選組はイヤだ！」を地で行く情けない新選組が登場してました…．大河新選組ではあまりの近藤いい子ちゃんっぷりに、汚いことは全て土方に被せるんじゃなかろーか疑惑が浮上してますが、この芝居では汚いことは全て100%沖田のせいになってました．そして現在土方LOVEの私にはかなりショックなかっこ悪い土方がいました．吉田智則は熱演してた．それは認める．でもあの土方はなあ．いやいや、最期はいいとこ見せてたけどさ、こぐれさんの近藤の卑屈さに比べたら全然マシだけどさ、それでもやっぱりって思ってしまうのは所詮ファン故の盲目さのなせる技か？
でもって．実は天皇家に繋がるお姫様で勝海舟に拾われて男の剣客として育てられた沖田って設定はどうなのよ．しかも回りの男共はみーんな沖田に惚れてるか依存してるときた．それを広末涼子がやるんだもんなあ．共感するのが難しいにもほどがある．広末涼子自体は映像のようにアップがない分、生で見たほうがいい印象を持てたと思う．想像よりずっと健闘してたとすらいえる．ただ、何が苦手って彼女のあの表情が苦手．この人は多分キムタクと同じでどんな役をやっても「広末涼子」でしかいられないタイプの役者だと思う．だから笑っても泣いても、広末涼子が笑ったり泣いたりしてるようにしか見えないの．ファンの人にはありがたいこの手のタイプも、私のような非ファンには迷惑この上ない．
坂元龍馬の筧利夫．この人も舞台役者としては凄いんだろうけど、ごめんなさい、声が苦手なんです．だから台詞で酔わせてもらえない．
以蔵の山本亨と勝海舟の春田純一が良かった．