仙突@出光美術館

続いて出光美術館の仙突展へ。人柄が偲ばれる楽しく優しい絵に溢れてました。事あるごとに周りに人が集まったという説明も納得です。隠居しても次から次へと人が訪ねていったんだろうなあ。屈託ない笑顔というのはああいう顔を言うのだろうなーという表情が素晴らしいのです。あんな顔が描ける人が人に好かれないはずがない。
○△□などの禅問答これぞという絵から単に半円が描いてるようにしか見えない自画像までユーモアいっぱい。
出光の場合自分のところで持ってるってのが凄い。いつでも見に行けるよね〜。

奈良の古寺と仏像@三井記念美術館

http://www.mitsui-museum.jp/index.html
終了日に慌てて行ってきた。ayaちゃんと上京してるまーにゃと一緒だからめんどくさがらずに行けたわ。
さすが遷都1300年記念だけあって思いのほか多くのお寺が協力してて想像以上にいろんな仏像が見られて満足〜。お馴染みさんから珍しいものまで種々様々。そしてこれだけの仏像の中で見ると夢違観音の異質感?まとってる空気の違いにびっくり。好きな仏像だからフィルターかかってるとは思うけど、それだけではないお顔の優しさとか質感とかびゅーんって目に飛び込んできた。
五劫思惟阿弥陀如来坐像(東大寺)は初見!これ見たかったんだ〜。アフロヘアというより厚みに圧倒される。こんなにも考えてくれてありがたいって気持ちになるよ、うん。
唐招提寺の押出仏「吉祥天女立像」はこれまでの押出仏の概念を変えてくれた。どちらかというとギリシャやローマあたりで見るレリーフに印象が近く、とても彫が深く写実的でふっくら美しい天女だった。
秋篠寺の地蔵菩薩はその異様な姿を見て思い出した。角があったり手足が何本もあったりと異形な仏は数々あれどここまで宇宙人っぽい仏もいまい。

シアターコクーン・オンレパートリー2010『シダの群れ』@シアターコクー

作・演出 岩松了
阿部サダヲ江口洋介小出恵介近藤公園江口のりこ黒川芽以、尾上寛之、蠔ジョンミョン、伊藤蘭風間杜夫

いわゆる極道なだけに家族というかファミリーというテーマを描いているのだけれども、その家族が作られたものであるということでどこか白々しい空気が漂っていた。義兄弟とか妾の子とかヤクザ世界にありがちな要素がこれでもかって詰め込んであり、言葉使いや行動がおしなべて暑苦しいのに全編とても褪めた冷たい空気が流れていた。全員が本音を隠して上辺で付き合ってる中、サダヲちゃんの森本だけがわからないことはわからないとストレートに物を言う。その不協和音が冷たい空気の中で心に痛く響いできた。
ベースは男のプライドの世界だと思っていたところ、最後の最後に突然「女」が大フューチャーされて心底驚いた。わからん、これはわからん。なになに?風間さんが江口洋介を嫌ってたのは女をあきらめなかったからだって?愛し続けたからだって?わお、それは意表を突かれ過ぎた。お家の一大事で女を出しますか?男にとって女ってそこまで大事?

自分用記録

 うーん、これを見るとやっぱりシェイクスピアが好きだなーと思った次第。

 ああいう演出だったのかー。十二夜みたいな鏡張りに歌舞伎や雅楽の音楽使ったりちょんまげ姿の登場人物が出てきたり、ベースは西洋だけど異分子的に和が入り込んでた。同じように笑いとシリアスが混在してるもののどっか不協和音的にいびつな仕上がりになってた。わざと狙ったのかな?幕の最初と最後に定式幕を使用しているからにはこれはお芝居であるということが明確にこちら側に示されていて、それもまた不思議だったわ。あと勝村さんと萬斎さんのやりとりが時にとても色っぽくてドキドキしました。2人とも色男なんだもの。タンゴ踊る時の萬斎さん、さすが姿勢が美しい。

  • タンゴ・冬の終わりに

 すごく暗い話だったのにそんなやじゃなかったなー。なんでだろう、基本美しいことを語ろうとしてるからなのかしら。

 大好き!!!贅沢ー!!

  • 2人の夫とわたしの事情

 松たか子のキュートさにやられますね。あれならわがままでも怒れない。

  • PPPP『謝罪の罪』

日本美術のヴィーナス@出光美術館

http://www.idemitsu.co.jp/museum/honkan/exhibition/schedule/201003.html
たまたま有楽町にいたのでふらっと寄ってみた。
楽しいのは江戸時代の肉筆画です。
鎌倉時代普賢菩薩騎象図。普賢菩薩法華経で女人成仏を説いてるらしく、だから女性っぽい表現が多いのねと納得。色っぽいのよねえ。
勝川春潮の蛍狩美人図は「者思へば沢の蛍の我が身より あくがれいづる魂かとぞみる」という和泉式部の歌が元だとか。蛍の美人図=和泉式部か。インプット。
安田雷州の夏姿美人図。洋風画だけあって衣装にちゃんと陰影がついている。こういう表現をされると陰影のない線だけの日本画の特徴がかえってよくわかる。この美人さんの顔が顔を作った芝翫さんにそっくり。ああいう顔は美人だったのだな。
鳥分斎栄之の「蚊帳美人図」はすらっとした頭身に細面のお顔が玉さんそっくり。美人にもいろいろね。
見かけるわりによくわかっていなかった江口の君、西行法師を助けてくれた普賢菩薩だったのね。
石橋図は文殊菩薩。騎牛吹笛美人図は用明天皇が見初めたという山路の笛。
喜多川歌麿の「娘と童子図」は醍醐寺にある国宝の詞梨帝母像がモチーフだとか。
後半は上村松園から始まる明治〜昭和にかけての日本画美人図。うーんまだあんまり興味がわかないな。

奈良へ

もととの今日のお目当ては次の2つ。

たまたまイベント情報を見てたら遷都1300年祭の一環で平城宮跡がライトアップされる週にかぶってたのでこれも見ることにする。

いつもなら早朝出発のところだけど、ライトアップが19時からだったので比較的のんびり8時過ぎに出発。
桑名ICから東名阪自動車道に乗り、毎回毎回見過ごす針インターで無事一般道に入り、一路安倍文殊院へ。

安倍文殊院

入場料700円でお抹茶&お菓子付き。説明しますから〜ってことでお抹茶を慌てて頂き本道へ。私達の他に2組だけどいう少人数で説明を聞く。文殊様は定期的に点検修理のため獅子から降りるてはいるのだけれど今まで一般公開はしていなかったんだって。今回1300年祭のタイミングで県から要請されての公開らしい。
いつもはぐーんと見上げる文殊様が目線の先ちょっと上にいらっしゃいます。その代わり文殊様の後ろにいる獅子のキュートな顔がちらっとしか見えません。よーく見ると細かい装飾の色彩が残ってる。暗いのでポスターの写真ほどはっきりとは見えないのが残念。珍しいお姿だけれども、もともと獅子に乗ってバランスの良い半跏像なのでやはり獅子の上のほうがしっくりぴったりくる。
続きの間には全干支の守り本尊がいらっしゃいます。様式も大きさもバラバラなのでどこかの待合室のようにも見えますね。
駐車場のお土産屋さんには噛めパンをもじった亀パンが名物として売られてた。噛めば噛むほどなんとかっていう由来があるんだって。で形状は亀。気になったものの購入せず。

聖林寺


せっかくここまで来たからにはと、車で数分のところにある聖林寺へ。道が細いため駐車場からえらい急な坂道を登ります(短いけどね)。真夏はなかなかつらい。
聖林寺は山ろくにあるのでとても見晴らしが良いのです。本堂から見下ろす奈良の田舎の風景がのどかでいいんだけど、惜しむらくは十一面観音の保管庫(←あえてこう呼ぼう)が四方がっちりコンクリートで固められていてこの穏やかな風景から遮断されてしまってる。とてもとても珍妙な真っ白に塗られた石造りの巨大お地蔵様が鎮座している本堂にこの十一面観音像があったらさぞかし気持ちよいだろうなー。
階段を上ったところに国宝十一面観音像がいらっしゃいます。手足が長く腰の細いすらっとしたプロポーションの仏像で身体だけ見るととても優雅。ただ顔立ちがお顔の傷のせいもあって威厳に満ちあふれているので優しいというよりは近寄り難い空気をまとってます。今回はその空気をとても心地よく感じました。暑い時には甘口仏像よりこのくらい厳しいほうが良いのかも。

奈良市内へ

普段は24号線で奈良へ向かうのだけれど今回は天理を通る169号線を通ってみた。いつもと違う風景だわ〜。このあたりは古墳が多いのね。まあ奈良はどこ行っても古墳いっぱいだけど。
ちょうど県庁のところに出るのでいつもの駐車場へ直行。さすがに平日だけあって空いてるわあ。国立博物館の目の前にも1日1000円の駐車場があったのを後から発見。いつも混んでるからそっち方面にいれようという気がまったく無かった。

奈良国立博物館『仏像修理100年』


仏像修理の歴史と変遷を、実際に修復された仏像やレプリカ、修復の過程のモデルや修理図などを使って説明がしてあった。
神奈川・円応寺の初江王坐像は初めて見た。主に西日本の仏像群をメインに見てるので東日本の仏像には疎い。飛鳥・白鳳の塑像や鋳造仏が好きとか言ってれば疎くもなるわ。鎌倉時代の作品だということだけれども、表情や衣文の表現がとてもアニメっぽい。特に衣文が動いてるわーって印象。たまには毛色の違う作品を見るのもいいわね。
近代仏像修理の祖というべき方(新納忠之介)の資料を見てたら続きで西村公朝氏のメモ帳などもあり、ちょっとしたことだけれども歴史の繋がりを感じる展示だった。
東大寺南大門の金剛力士像の修理プロジェクトに関しては何度もテレビで詳細を見ているものの実際の大きさには毎度圧倒される。足先や手といった断片だけみてもその巨大なことといったら!下から見上げることを意識した絶妙なバランス感覚に運慶の才能を感じざるを得ない。かっけーー。
復元された色彩豊かな阿修羅像。昔は侘び寂び重視というか古びた仏像こそが素晴らしいと思っていたけれど、最近は煌びやかで華やかな当時の様子を再現した仏像もいいなと思うようになった。天平文化に興味を持ち出すと、朱色や青が当たり前になってくる。
最後に数種類の木で作った仏像がおいてあり抱きしめて香りをかぐことが出来た。木の種類によって香りが全然違う。仏像を香りで楽しむという感覚がまったく無かったので面白い体験だった。

至宝の仏像

東大寺法華堂の金剛力士立像が特別展示です。
法華堂内では暗いうえに仏像密集地帯なので当然全方向からの景色なぞ望めるわけもなく、今回の展示で初めて背中や横顔を間近で見ることが出来た。奈良時代ならではの脱活乾漆像です。若干棒立ちで動きの硬い表現がむしろ好きです。暗い中に安置され続けていたおかげで装飾が比較的綺麗に残っているので、当時の様式が垣間見れますよ。各所に残る様々な文様をちゃんと目視確認できました。金剛力士像というと南大門に代表されるいかにもな力士を思い浮かべがちだけれども、ここのは煌びやかな甲冑を身に着けた異国情緒たっぷりなお姿で四天王に近い。
仏像館の中央ホールには十一面観音が集められてた。こうやって一同に介すとさすが美仏の代表格、壮観な眺めでした。

現代美術のように単純化された造形がとても印象的だった木造男女神坐像。

途中休憩


地下にある葉風泰夢は毎回必ず寄ってしまう。そして外で何か食べるという選択肢もあるというのに時間節約&結構おいしいということもあってほぼここでランチを済ましてしまう。今日はコーヒー&ケーキで休憩。




外に出たら博物館前の池が鹿の大密集地帯と化してた。バンビやら立派な角の牡鹿やらがのんびりくつろぎ中。奈良はこういうもんだと思って普通に写真撮ってるけど、奈良以外でこんな光景みたら心底びっくりして近づけないだろうなあ。なんで奈良だと平気なんだろう。
鹿せんべい売り場に顔を突っ込む牡鹿。自然すぎ。

光と灯りのフェア


イトーヨーカドーに車を置いて平城宮跡へ向かう。同じ目的で歩いてる人がちらほらいたので後をついていく。毎年のように奈良に来てるのに平城宮跡は初めてです。まあ普段行く必要がないからねえ。
復元された羅生門前で記念撮影。この大きさにこの派手な色彩は無条件でグッときますね。いまいち何が行われるのかわからないままま行ったものの、これは結構な人出です。そこここに光のインスタレーションやアートワークが設置されてました。

しかしどんな凝った作品よりも大極殿前の量勝負なろうそくライトアップが一番強烈な印象を与えてました。ちょうど光の天平行列なるものが通っていったけれど、まあそれなりな感じで。一般公募の参加者の皆さんのほうがイベント感高かったんじゃなかろうか。見てるほうはいまいちよくわかんなかった。
さくさくっと歩いて一周したところで雷&雨が降り出して大慌てで駐車場へ戻る。その後大雨になったみたいだから間一髪セーフだった。

8時半過ぎに奈良出発。12時前には帰宅できてたような…?